三井住友銀行 個人向け営業のノルマ廃止

「収益のノルマをなくして、お客さんをどれだけ儲けさせることが出来たかで、評価するべき」

 これは、僕が以前証券会社に勤務していた時、同僚と話していた内容だ。

ついに、世間が追い付いてきたということであろうか。

 

 今回の変更で、収益(販売)ノルマを廃止して、顧客の資産がどれだけ増加したかをより重視することとなった、ということである。

記事には記載されていなかったが、新規開拓は資金導入のノルマはもちろんそのままであろう。

見出しだけを読むと、ノルマがなくなったような書き方だが、実際は新規開拓や資金導入重視になったのではないかと思う。(実際のところは分からないが)

 

 もし、銀行の評価指標で資産増加が一番大きなウェイトを占めることになるとどうであろうか。

これは会社にとっては有利で、営業マンにとっては不利な改悪でないかと思う。

理由としては以下の2点

  1. 相場が良ければ、預り資産は増える。こういった状況であれば、営業の評価は上がる。また、相場が良ければ運用にお金が回りやすくなるので、銀行は潤う。つまり、評価が上がりボーナスが増えようが、銀行も利益が増えているので問題ない。では、下落局面ではどうか、ベア系の商品を持っていない限り、株ファンドだろうが債券ファンドだろうが、資産は減少する。銀行も儲けは少なくなるだろうが、ボーナスも減るので痛み分けという状況になるのではないか。
  2. 金融の自由化が進んで銀証の垣根はなくなってきている。では、証券会社で出来て、銀行で出来ないもの。それは株であろう。全員がやっているわけではないが、空売りを出来るのである。つまり、相場下落時でも資産の増加を図れるのである。もちろんベア系の商品を使えば、可能であろうが、銀行員でベアを提案できる営業マンは皆無であろう。

よって、この変更は、一見良い変更のように見えるが、会社に都合の良い変更なのではないだろうか。

特に、数年間の上昇トレンドが終わりそうな今、他の銀行もこの改善に見せかけた改悪に追従するだろう。

最後に、もちろん銀行も営利企業である。営業担当まで収益ノルマがおりてこなくても、会社・支店単位では目標があるであろう。

結局、管理職は、収益を詰めることになり、現場は変わらないと予想する。

金融機関は、もっと現場を見た評価方法を考えてほしいと思う。

(実際のところは、そこまで考えた変更かもしれません。あくまでも主観です。)